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『KURAU Phantom Memory』入江泰浩監督インタビュー back
第3回目の「ボンズの屋台ボネ」は、今夏から放送が始まるボンズの新作『KURAU Phantom Memory』の入江泰浩監督のインタビューです。
PROFILE
入江泰浩(いりえ やすひろ)

アニメ−タ−・演出家。これまでの作品に『エイリアン9』(01)(キャラクターデザイン・監督)『ラーゼフォン』(02)(演出・作画監督)『ガンパレード・マーチ〜新たなる行軍歌〜』(03)(キャラクターデザイン)などがある。
--- 今回ボンズにて監督を務めることになったこの『KURAU Phantom Memory』(クラウ・ファントムメモリー 以下クラウ)ですが、タイトルの方はボンズのホームページの「近況ヨタ日記」の方で、ちゃっぴぃ武井さんが『クラ?』とか『?ラウ』とか、わかりやすいヒントを出してましたね(笑)。

入江泰浩監督(以下 入江) 『ク?ウ』とかですね。

--- そういう意味ではホームページをマメにチェックされている方にとっても前々から期待を膨らませている作品だと思うのですが、まずは入江監督がこの作品に関わることになったきっかけから教えていただけますか。

入江 『クラウ』の元になる企画は『天空のエスカフローネ』が終わる頃に南(プロデューサー)さんの方に出していたんです。それからだいぶ時間が経ち、2002年に『エイリアン9』が終わったあたりで南プロデューサーの方から「アレ、そろそろ回さない?」というお誘いがあり、二年ぐらい前からこの『クラウ』を本格的に動かし始めたという感じです。

--- 入江監督がこれまでに関わられたボンズの作品はどのようなものがあったのでしょう。

入江 ボンズでの仕事としては、作画監督として『ラーゼフォン』に関わり、あと日本のヒップホップアーティスト、RINO LATINA IIのミュージッククリップの作画を担当しました。その二本ですね。

--- アニメ誌でも徐々に情報公開が始まってますが、まだまだ情報の少ないこの『クラウ』ですが、どのようなストーリーなのでしょうか。

入江 物語の舞台は今から100年後の2100年の世界で、現代と同じように人々が地球で生活をしていますが、月にも人が多く移り住んでいる時代になっています。月に住んでいる12歳の女の子が、エネルギー開発をしているお父さんの実験を見学に行ってそこで事故に遭ってしまい、その事故で違う次元から出てきた生命体に身体を乗っ取られてしまいます。それ以降はその生命体が女の子の身体を支配して動かしている。その女の子の身体を借りて、生命体が人間の世界で暮らしていくことになるんです。それから10年経ったところが物語の始まりになります。

クラウ
クリスマス
アヤカ
天箕博士
ダグ
--- 登場人物はどのようなキャラクターが出てくるんでしょうか。

入江 まず、クラウ。彼女は22歳で、危険な仕事から秘密の仕事、お手伝いと、どんな仕事でも請け負うエージェントという仕事をしています。ある日、12歳当時のクラウと同じ姿形をしているもう一つの生命体がクラウの身体から現れます。それがクリスマス。その二人が主人公になります。クラウとクリスマスは同じ生命体で対となる存在です。
  そのクラウたちを追いかけ回すのがアヤカ。“GPO”という今で言う警察のような組織に所属する女性です。彼女はクラウを危険な存在として追います。あとはクラウのお父さん。それと10歳の息子を持つ子煩悩の男性で、クラウと同じエージェントの仕事をしているダグ。そのあたりがメインのキャラクターになりますね。
 
--- 友情や親子的な関わりがストーリーに大きく関わってくるのでしょうか。

入江 友情だったり父親と子供の関係だったりと、信頼関係が軸になっていくという感じですね。

---『エイリアン9』や『天空のエスカフローネ』、『ラーゼフォン』など、いままで関わられた作品では、割と年齢が低い主人公が活躍するお話でした。クラウは22歳という設定ですが、最近のアニメーション作品では比較的年齢が高い主人公ですね。

入江 当初の企画では主人公は男の子と女の子の子供でした。しかし主人公が子供たちになると、どうしても巻き込まれ型の話になってしまい、かつ自分たちの判断で大きなことを解決することができるだけの力は子供なので持っていない。解決をしたらしたらで、“子供がやってしまったとんでもないこと”という印象になってしまう。そういう流れに少し行き詰まっていた部分がありました。その企画時に登場していたクラウというサブキャラクターが自分の判断でどんどん進んでくれるキャラクターだったので、それが大きく膨らんで今の『クラウ』という作品に辿り着いたんです。
  『エスカフローネ』には作画で参加していたんですけど、主人公は高校生ですね。まだ自分というものをまだ把握していない、自分を持っていないキャラクターであるが故にいろいろな行動を取り入れられるので、そういう設定だったんだと思います。『エイリアン9』の主人公は小学生の女の子三人。自分から主体的に動いていくというよりかは、学級のクラスで決められたエイリアンを退治する係なので、どちらかというと受け身のキャラクターですよね。どちらも巻き込まれていくことで行動しているキャラクターです。
  ただ、今回の『クラウ』では何か条件を与えられて行動していくキャラクターではなく、自分で判断して自分から進んでいくキャラクターを作りたいという思いがありました。そういう意味ではクラウは動かしやすいところがありますね。

---逆にこの作品で難しかった部分はありますか。
 
入江 クラウはリナクスという力をおおっぴらには使えません。人に見られると怖がられますし。とはいえ使わないでいるほど平穏ではない。使いどころのバランスがまず難しいです。そして力自体は自由に空を飛ぶこともできれば壁をすり抜けることもできたりと、限りなくスーパーマンです気を付けないとパワーのインフレ状態になっちゃいます。もう一つ言えば、これだけの強いキャラクターをへこますには、どういう敵、どういう状況があるのか、ということを考えるのが難しいと言えば難しいですね。

--- すごく万能な能力を持った女性と聞くと、ついつい女性のスーパーヒーローものというイメージが沸いてしまいますが。

入江 うん、でも作品自体はスーパーヒーローものという感じではないですね。クラウは悪と戦うのではなく、GPOから監視されて追われて逃げながらも、「この世界や社会の中で安心してクリスマスと暮らしたい」ということを求めているんです。クラウは自分が何をしないといけないのかということをしっかりとわかっていて、その目的ために進んでいく迷いのないキャラクター。悪を倒すために生まれたヒーローではありません。クラウはクリスマスを守り、クリスマスは12歳ながら22歳のクラウの精神的な支えになっている。お互いを守り守られながら、対等な形で生きていく。そんな感じに物語を進めて行けたらと思っています。

(ボンズ Aスタジオにて)

『KURAU Phantom Memory』は今夏、テレビ朝日深夜枠で放送開始! ご期待ください。
次回は『KURAU Phantom Memory』の制作現場、ボンズAスタジオの紹介です。


取材・文 浅山祐介
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