NEW ENTRY

2020.09.30 YOTALOG

A.I.C.O. Incarnation 与太日誌-第12話           ※ネタバレ注意:本編を未見の方にとってはネタバレになる情報を含んでいますので、ご注意下さいませ

Comment(0) Posted by ボンズ広報部

第12話「再生」、如何でしたでしょうか。

最後までご視聴頂きまして、誠にありがとうございました。

 

今回は最終話以降でないと明かせない内容を村田和也監督にお答え頂いております。

 

◆村田和也監督に質問!

Q1.眼球は脳の一部という設定により、アイコの脳の方が偽物であることには驚きました。この構成は最初から決まっていたいのでしょうか。

 

A.旧原案の時点では、二人のアイコの配置は逆でした。

雄哉と行動を共にする方のアイコが、黒瀬からの説明の通りの「本物の脳+人工生体の体」でした。が、企画を具体的に始動するにあたって、人工生体脳の方を主人公にした方が、よりメッセージが明確になるのではないかと考え直し、逆にしました。その際、胎児の発生過程における「眼球という器官は脳から形成される」という事実を利用して、身体のうち眼球だけを脳とセットにすることで、本当はどちらが人工生体なのか、というどんでん返しに使えるのではないかと思い採用しました。

 

 

Q2.アイコの脳が偽物であることに対し、白石は驚いていました。篠山と白石は雄哉の計画の意図についてどこまで理解していたのでしょうか。

 

A.ミッションの内容は、二人とも第2話でアイコが黒瀬から受ける説明と同じ内容として理解していました。つまり、身体が人工生体のアイコをプライマリーポイントまで届けて、そこで本物の身体と交換するのだと。しかし、雄哉の正体が由良であることを知っているのは白石のみで、篠山は知りませんでした。

  

 

Q3.人型マターの原因が柚葉によるものでしたが、そうなった起因はなんだったのでしょうか。

 

A.柚葉は長期に渡り遷延性意識障害(植物状態)でしたが、運良く意識だけは回復しました。

が、伊佐津が柚葉の脳を復活させようと彼女の複製体を量産し、その脳と柚葉の脳との間にリンクを張ったおかげで、意識を取り戻した柚葉の脳は、自分の本物の身体がどこにあるのか分からない状況に陥りました。

意識があるにも関わらず身体を動かす機能が失われた、いわゆる「閉じ込め症候群(locked-in syindrome」という状態です。自分の意識が回復していることを周囲に伝えることができず、柚葉の意識は閉ざされた闇の中でさまよい、声のない叫びを上げるしかありません。

一方、プライマリーポイントの第二研究所に保存されていた柚葉の複製体群は、アイコ複製体の暴走の影響を受けて一部がマター化してしまいましたが、復活した柚葉の意識の叫びを受けて、その脳を探し求めて研究所から浸出し、アイコマターの内部を縫うように下流へと伸びて行きました。これが人型マターです。

  

 

 

Q4.結末はこの作品を立ち上げる時から決まっていたのでしょうか。最初に考えられていた結末と変わっていましたら、どのようにして変わったのでしょうか。

 

A.この結末は、企画内容を練る中で決まりました。

経緯としてはいくつか段階があります。旧原案では、新生アイコが本物アイコの家族に引き取られて一緒に暮らすという案がありました。最終話で本物アイコが新生アイコに提案している方法です。

ただ、この時はまだ「バースト」や「マター」、「ダイバー」というアクションバトル系の設定はなく、SFサスペンスもので、雄哉とアイコがもう一人のアイコを探し出した後、雄哉が二人のアイコと共に身体を元通りにする手術が行える場所まで旅をする行程があり、二人のアイコの関係性が本編とは異なっていました。

また、本企画になってからの初期には、雄哉が責任を取って新生アイコと共に死ぬという案もありました。

意思のある人工生体人間である新生アイコは、この世に存在してはいけないもの、という考えからです。

しかし、それで雄哉は責任を取ったことになるのだろうか。新生アイコは納得できるのだろうか……。

雄哉(由良)が、自ら開発した技術についての責任を本当に自分できちんと取るためには、その技術によって生み出された人工生体アイコの人生に向き合い、その人生の可能性を探りつつ、人工生体技術の在り方に自分なりの答えを見出すところまで行く必要があるのではないかと考え、今の形になりました。

  

 

Q5.小春がアイコの付添人のようになっていましたが、小春はなぜそのようになったのでしょうか。

 

A.最終話の手術後に生まれた新生アイコ(脳も身体も人工生体のアイコ)は、社会的には「人間」とは認められていません。その特殊事情を秘匿しながら、あたかも普通の子であるかのごとく生きるためには、それに相応する大きなサポートの枠組みが必要です。このことを黒瀬は南原に提案、南原が責任者として指示を出し、黒瀬がその管理を請け負い、さらにアイコと同性であり自由人でもある小春が自ら名乗りを上げて、新生アイコの生活を支える体制を作りました。雄哉と小春はアイコを連れ、北海道の桐生第三研究所を足場として暮らし始めることになりました。

  

トップへ戻る